うまい例をでっち上げられないので、実際のユースケースで説明する。
自宅のサーバで Flask を使った書籍管理の web アプリを運用してるんだけど(ソースコードは GitHub で公開してある)、その web アプリには JSON を返す API が定義してある。で、API のひとつ /api/books/ は書籍情報の一覧を返し、クエリパラメータとして offset と limit を取ることができる。
Flask では request.args.get でクエリパラメータの値を取得するついでに、値の型とデフォルト値を指定することができる。↓こんな感じ。
@app.route('/api/books/') def api_books(): offset = request.args.get('offset', default=0, type=int) limit = request.args.get('limit', default=100, type=int) ....
さて、この書籍管理アプリには「書籍を削除する」という機能がなくて、かわりに書籍を捨てた時には、データベース上の disposed カラムに True をセットして、web アプリ上では表示しないようになっている。だけど上記の API ではそこのところを考慮してなかったので、返ってくる JSON には捨てた書籍も含まれている、という状況だった。
ここからが本題。
API の返す JSON に、デフォルトでは捨てた書籍(つまり disposed=True)は含まず、クエリで include_disposed に真値をセットした時にだけ含むようにしたい。
最初の方法
上に示したコートでは、クエリパラメータの値を int に変換して取得しているんだから、同様に bool を指定してやればいいと思った。こういうふうに。
@app.route('/api/books/') def api_books(): offset = request.args.get('offset', default=0, type=int) limit = request.args.get('limit', default=100, type=int) include_disposed = request.args.get('include_disposed', default=False, type=bool) ....
開発用のサーバはエラーもなく立ち上がり、/aip/books/ にアクセスすると捨てた書籍が含まれていない JSON が、/api/books/?include_disposed=True にアクセスすると捨てた書籍も含まれた JSON が返ってきた。期待通りだ。
ところが、試しに /api/books/?include_disposed=False にアクセスしてみると、捨てた書籍も含まれた JSON が返ってきた。これは期待する動作と違う。
原因は追求していないけど、想像するに、クエリの値として渡ってきた文字列を bool(文字列) してるだけなんじゃなかろうか。だとすると、クエリで include_disposed の値がなんであるかにかかわらず、空文字列でない限りは、変数 include_disposed の値は True になるわけだ。
なんてこった。期待させやがって!
解決編
しかたがないので文字列を真偽値に変換する関数を書いた。一般に真を表すであろう文字列(true、 yes、 on、大文字小文字を問わない)の時だけ True を返し、ほかは False を返す。
def str_to_bool(s): p = re.compile(r'(true|yes|on)\Z', re.IGNORECASE) if p.match(s): return True else: return False
で、クエリの値を変数に代入するところはこうした。
include_disposed = str_to_bool(request.args.get('include_disposed', default=''))
request.args.get の返す値を str_to_bool で変換している。default=” を指定しているのは、指定しないとクエリに include_disposed がなかった時に None が返ってくるため。
さて、これで期待通りの動作をするようになった。