main()の引数

C のプログラムでは、コマンドライン引数を main() の2つの引数、argc と argv で受け取る。argc と argv という名前は決まったものではないらしいけど、伝統的のこの名前が使われているらしい。
argc は int 型で、コマンドライン引数の数を受け取る。argv は文字列ポインタの配列で、コマンドライン引数自体を受け取る。注意が必要なのは、コマンドラインに打ち込んだプログラム自体も含まれているということだ。なので、argc は 1 以上の整数になり、argv[0] にはプログラム名が入っている。

これらは次のように使う。

int main(int argc, char *argv[])
{
    ....
}

*argv[] となっているのは、コマンドライン引数の数が決まっていないから。

ちょっと試してみよう。次のプログラムは、コマンドライン引数の数と、それぞれの引数を出力する。

#include

int main(int argc, char *argv[])
{
    int i;

    printf("%d\n", argc);

    for (i = 0; i < argc; i++) {
        printf("%s\n", argv[i]);
    }

    return 0;
}

実行例:

takatoh@nightschool $ ./sample_7_4a
1
./sample_7_4a
takatoh@nightschool $ ./sample_7_4a foo bar baz
4
./sample_7_4a
foo
bar
baz

さて、コマンドライン引数は文字列として渡されるので、もし数値として使いたいなら、文字列から数値へ変換しなければいけない。よく使われる関数は次のとおり。これらを使うには stdlib.h を include する必要がある。

int atoi(char *str);
double atof(char *str);
long atol(char *str);

long は long int のことね。
試してみよう。

#include
#include

int main(int argc, char *argv[])
{
    int i;
    double d;
    long l;

    i = atoi(argv[1]);
    d = atof(argv[2]);
    l = atol(argv[3]);

    printf("%d %f %ld\n", i, d, l);

    return 0;
}
takatoh@nightschool $ ./sample_7_4 2 3.5 200000
2 3.500000 200000

ところで、1つ疑問な点がる。それは「char *argv[]」という宣言だ。
最初に argv は文字列ポインタの配列だと書いた。だけどこの宣言はそうは見えない。「char ch」なら文字変数、「char str[]」なら文字の配列(文字列)。だとすると「char *argv[]」は文字列のポインタじゃないのか。それとも [] よりも * のほうが結合強度が強くて文字ポインタの配列か。どちらにせよよくわからないな。

引数の値渡しと参照渡し

int 型や float 型の引数を普通に渡すのが値渡し。このとき引数の値はコピーされて関数に渡されるので、関数の中で変更しても元の(つまり関数の外の)変数の値は変化しない。
これに対して、ポインタで渡すのが参照渡し。引数のポインタの持っているアドレスがコピーされて関数に渡されるけど、このアドレスは関数の呼び出し元のポインタと同じデータを指している。結果として、関数内で引数(ポインタ)の指すデータを変更すると、呼びさし側でもデータが変化することになる。

参照渡しの場合は、関数の仮引数をポインタとして定義する。次のプログラム中の関数 swap は2つの引数(ポインタ)をとって、相互に値を交換する。

#include

void swap(int *i, int *j);

int main(void)
{
    int num1, num2;

    num1 = 100;
    num2 = 800;

    printf("num1= %d, num2= %d\n", num1, num2);
    swap(&num1, &num2);
    printf("num1= %d, num2= %d\n", num1, num2);

    return 0;
}

void swap(int *i, int *j)
{
    int temp;

    temp = *i;
    *i = *j;
    *j = temp;
}

「void swap(int *i, int *j)」というのが、ポインタ引数の書き方だ。ここでは2つ使っている。
実行結果:

takatoh@nightschool $ ./sample_7_3
num1= 100, num2= 800
num1= 800, num2= 100

ちゃんと num1 と num2 の値が入れ替わった。

ところで、引数に配列(文字列を含む)を渡す場合、配列のアドレスが渡されるだけで配列そのものがコピーされるわけじゃない。これは参照渡しだ。だから、関数の仮引数はポインタ型として定義する必要がある。

#include

void f(int *num);

int main(void)
{
    int count[5] = {1, 2, 3, 4, 5};

    f(count);

    return 0;
}

void f(int *num)
{
    int i;

    for (i = 0; i < 5; i++) {
        printf("%d\n", num[i]);
    }
}
takatoh@nightschool $ ./sample_7_3a
1
2
3
4
5

再帰

C でも再帰関数が書ける。特別なことも必要なく、単に自分自身を呼びだせばいい。
次のプログラムは練習問題から。階乗を計算する。

#include

int fact(int n);

int main(void)
{
    int n;

    n = fact(5);

    printf("%d\n", n);

    return 0;
}

int fact(int n)
{
    if (n) {
        return n * fact(n - 1);
    } else {
        return 1;
    }
}
takatoh@nightschool $ ./sample_7_2
120

関数プロトタイプ

関数を使う前には、関数プロトタイプの宣言が必要。前にも書いたけどこんなふうに書く。

型 関数名(型 仮引数1, 型 仮引数2, ..., 仮引数N);

コンパイラはこの宣言から次の情報を得る。

  • 関数の戻り値の型
  • 仮引数の数
  • 仮引数の型

ANSI C では、歴史的経緯によりプロトタイプがなくてもいいことになっているそうだけど、関数を使う前に宣言しておくのが普通。というか常識。常に書くべし。

標準ライブラリの関数も、ヘッダファイルにプロトタイプが書かれている。使う関数によって対応するヘッダファイルを読み込む必要があるのはこのため。

関数の戻り値がない、仮引数がないときには、キーワード vold を使う。

void myfunc(int x);
int myfunc(void);

main 関数だけは特別で、プロトタイプが必要ない。